恋人がいるときに病気になると全然違う!
年に数回は大きな風邪を引いちゃう俺だったが、今回だけは「ラッキー」だと思ったんだ。
それは、恋人の真奈美がいてくれたから。
その日、社員食堂で昼食をとっているときに異変に気がついた。
「なんか体がちょっとダルいし、食欲もあんまりないなぁ」風邪の前兆が静かにやってきたのだと俺は悟った。
このまま、会社を早退して薬を飲んで眠ってしまえば、まだ早期回復を望めたのだがそういうわけにはいかなかった。
ちょうど明日、休みだったというのもあるし、仕事をバトンタッチできる同僚はいなかったし、後輩もまだまだ頼りない。
結局、仕事を終えたのは深夜だった。
車に乗り込んだときは、喉が痛みだし、寒気を感じるようになっていた。
熱もあった。
明日は真奈美とデートすることになっていた。
「こんな状態じゃ迷惑かけるだけだな」俺はそう判断して真奈美にデートキャンセルのメールを送った。
「今日のデートだけど、ごめん!風邪ひいちゃった。
治ったら必ず埋め合わせするから休ませてください。
今度行きたいって言ってた、夜景の綺麗なレストランにも行こうね」俺はスーツのままベッドに寝込んでしまった。
昼前に目覚めて俺は驚いた。
何か美味しそうな香りがするなぁと気づいた。
起きあがってみると、狭いキッチンにエプロン姿の真奈美が立っていた。
「もう無理するから風邪ひくんだよぉ」そう言って真奈美は微笑んでいた。
俺は調子が悪いのと、突然の展開に言葉を失っていた。
「なに、驚いちゃってるの?早く部屋着に着替えてもう一度寝ちゃいなよ。
美味しい雑炊も用意してあるからさ」俺はようやく口にできた。
「ありがとう。
わざわざ来てくれて」真奈美はまた微笑んだ。
「今日は一日、看病デートなんだからね」俺は吹き出してしまった。
「なんだよ、そのデート!」しかし、俺はとても幸せだった。
恋人がいると、病気になってもこんな豊かな気持ちを味わえるんだなぁとしみじみ思ったのだった。
嬉しくて真奈美を抱きしめると、「風邪がうつっちゃうから、ドント!」なんて言われちゃったりするのも、また良かった。